パティシエの腕を持つ地元出身の夫婦が営む店は、厳選した小麦粉と自家製天然酵母を使って焼き上げたパンが人気の店だ。コーヒーとの相性も抜群で、地域の新たな魅力となっている。
たっぷりのくるみと赤ワインに漬けたレーズンを使ったパンは贅沢な食感と味わいが楽しめる。
店主の佐藤睦さんは「フルーツパンみたいな感覚で、パン生地よりも具材の方が多かったりする。そこは意識している」と語る。
「MAISON DE L’AMITIE」は、奥州市水沢に2024年10月にオープンした。
営むのは佐藤睦さんと愛里さん夫婦だ。東京で出会った2人は、念願かなって故郷の奥州市で店を開いた。
「僕がこっちで帰ってきて店をやりたいとをずっと言っていた。話し合いまして…」と睦さんは故郷での開店の経緯を語る。
愛里さんも「試作のパンとかも持ってきてくれて、すごく美味しかったのでいいお店になるだろうなと思っていた」と夫の腕前に太鼓判を押す。
睦さんは仙台や東京の洋菓子店でパティシエとして腕を磨いてきた。その経験を活かし「地域に溶け込みやすく、自由な形で作れる」と感じパンづくりを本格的に始めた。
「MAISON DE L’AMITIE」のパンの特徴は、何と言ってもその贅沢な具材と独特の食感だ。
睦さんは粉選びにもこだわりを持つ。「うちのパンだとやっぱり粉。粉選びは意識していて、全粒粉が結構入ってるパンや石臼でゆっくりひく粉を選んでるので、甘さや小麦の香りが残りやすい」と説明する。
他にも、ダブルベリーピスタチオは生地の半分がベリーとピスタチオという贅沢な一品。「どこ食べてもベリーとかナッツ感が出るようにしてあります」と丁寧な仕事ぶりが伺える。
リピーターに人気のリュスティックは、角切りにしたスイス産のグリエールチーズを使用。濃厚な味わいととろけるような口当たりが特徴だ。
「MAISON DE L’AMITIE」では、ハード系のパンにも独自の工夫が凝らされていて、外はカリッと中はもっちりで柔らかだ。
「粉とお湯を先に合わせて餅みたいな生地を作るんですけど、それを生地に練り込むと結構ハード系なんですけど、食べやすいモチモチ食感になる」と睦さんは説明する。
この方法により、2日目もパサつきにくく食べやすいパンに仕上がるという。
パンに合わせるコーヒーにもこだわりがある。夫婦が愛してやまない千葉県のコーヒー店から取り寄せた豆を使用している。
愛理さんは「うちでは5種類の豆を取り扱っていて、今おすすめなのが期間限定のホリデーブレンド。チョコレートのようなコクがある中でチェリーのような甘さがあったり、フローラルのような華やかな香りがあるブレンドになっている」と説明する。
カンパーニュという少し酸味があるもっちりしたパンは、甘さと程よい酸味が絶妙のバランスで、フルーティーなコーヒーとよく合うという。
寒い季節には、自家製シロップと地元の小岩牛乳を合わせたバニラミルク(HOT)もおすすめだ。バニラの優しさと甘さがほっと体を温めてくれる。
睦さんはパン作りの魅力についてこう語る。
「パンは生き物(酵母)を扱っているので、形もバラバラだし毎朝の状態も違うし。『不恰好さも良い』みたいなところがパンの良さで面白さかなと思う。作っていて楽しい」
食卓に彩りを添えてくれる「MAISON DE L’AMITIE」。これからも夫婦二人三脚で歩み続ける。
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